梅雨が明け、空の青さが日に日に濃くなっていく頃。
七月の二十四節気です。
七月の和風名月、「文月(ふみづき)」の語源は、書の月、あるいは稲の花咲く「穂含月(ほふみづき)」が転じたとも。
暑さのなか、心を静めるように手紙を書く風習があったのかもしれませんね。
◆小暑(しょうしょ)7月7日頃
そんな文月のはじまり、
季節は「小暑(しょうしょ)」を迎えます。
水をたたえた田んぼに空が映り、蓮の花たちは人知れず目を覚まします。風はまだどこか湿り気を帯びながらも、木々の葉の陰に強まりゆく陽射しの気配が宿りはじめます。
梅雨明けを告げるように、蝉の声がひとつ、またひとつと空に溶けていき、季節はゆっくりと、けれど確かに、盛夏の入り口へと歩みを進めていきます。
◆大暑(たいしょ)7月22日頃
やがて季節は「大暑(たいしょ)」へ。
一年で最も陽が強く、暑さが極まる頃――。
照りつける太陽に木陰のありがたみを覚え、風鈴の音がふと心をすくってくれるような、そんな日々が続きます。
耳を澄ませば、夏は音にあふれています。
朝のひぐらし、昼の蝉しぐれ、夕立の遠ざかる雷鳴。風が風鈴を揺らし、夜には、どこかの町から届く花火の音が、ほんの一瞬、空の奥にこだましては儚く消えていきます。
暑い日々に潜む、ノスタルジックな「夏の音」を聴くと、こういう夏が、なんだかんだ好きだな、なんてしみじみ思ったりもして。
光と影と、音と匂い。今年も夏の記憶がじんわりと心に染み込んでいく。