しとしとと空からこぼれる六月の雨。
大地を包み込むように降りそそぎ、紫陽花の葩は静かに色を深め、風はやわらかく、草の香りを運んできます。
6月の和風月名『水無月』の「無」は、「ない」という意味ではなく、古い言葉で「の」に近い役割を持っています。つまり六月は「水の月」。
たっぷりと水が満ちるこの季節には、田んぼも森も潤い、静かにそして深く息をはじめます。
◆芒種(6月6日頃)
田植えの風景が広がるこの季節、風にそよぐ稲の若葉が、きらきらと初夏の光を受けて揺れています。
遠くからは蛙の声、足元には水面に映る空。
しとしとと大地を打つ雨音に耳を澄ませば、軒先の紫陽花が静かに色づき、季節が深まってゆくのを感じます。
◆夏至(6月21日頃)
「夏至」は夏の真ん中、 一年でいちばん昼が長く、夜がいちばん短い日。英語で“Summer Solstice”(夏の頂点、光の節目)と呼ばれるようにこの日は太陽が空で最も高く、長く、私たちの上にとどまる日です。
一年でもっとも光が満ちる日、夏至を迎えれば、季節の幕が、またひとつしっとりと余韻を残しながら降りていきます。
6月の節気は、芽吹と実りのはじまり、そして光と影の交差点。
雨露が大地を柔らかく潤ませる季節は、自然の生みだす音や光のしつらえを楽しんで。
梅雨の時期は、自律神経も乱れやすいので、なんだかダル重いと感じたら、無理しすぎず何か一つ、やると決めて過ごしてみる。それをできる限りで精一杯こなす。
そんな風に、梅雨の季節の自分ルールを作ってみてもいいかもしれません。