二十四節気、「啓蟄(けいちつ)」の時期。
冬ごもりの虫たちが目覚めるはじめる頃と云われています。
啓蟄の「蟄(ちつ)」とは、虫などが土中に隠れていることを意味します。春の気配を感じて、土の中で冬ごもりをしていた虫たちが、穴を啓(ひら)いて地上へ出てくる時候から、その名が付けられました。
まだ寒さを感じる時期ですが、陽光の柔らかさや目に見えて長くなる日脚などに春の気配を感じられます。
春の目覚めの光景は、人から見れば和やかな場面のように思えますが、生き物たちにとってこの時期は、来る春(生存競争)に向けて身体を慣らし、環境に順応していくための大切なウォームアップの時間です。
誰に教えてもらうでもなく、本能で雄大な自然へと果敢に挑んでいく小さな生き物たちは、言葉なき普遍の力強さをわれわれ人間に伝えてくれます。
水が溶け、木が背伸びする。小さきものたちは、われわれには聞こえない大地の目覚めの音を知っているのかもしれません。
人の世界もこれから春に向け、様々な門出や新たな生活への準備をはじめる期間です。
そんなときほど息を詰めすぎず、気分転換に大地に目をやれば小さな世界の大きな動きに遭遇できるかもしれません。
活力満ちる大地の普遍なエネルギーをもらって、私たちも来る春を晴々とした気持ちで迎えたいですね。