大掃除を終えると、いよいよお正月の準備開始です。
毎年この時期になると、大きな社寺の参道や門前には新年を迎えるために必要なものがずらりと並ぶ「歳の市」が立ちます。
各地の社寺の門前市の中でも、ここ東京・浅草観音の「大市」は広く知られ、江戸随一の市といわれます。
歳の市初日のこの日、浅草寺には多くの人々が訪れていました。
毎年、十二月十七日からの三日間開催される歳の市には、お正月飾りや縁起物、日本の伝統工芸品などを売る露店が並び、あちこちで威勢のいい職人の口上や値切りのやり取りが聞こえてきます。
お正月用品だけでなく、様々な日用品も並ぶのは、新年に向けて身の回りの品物を新調することがお清めになると考えられているからです。
「歳の市」の発祥は江戸時代で、浅草や深川など江戸市中の歳の市は大変な賑わいだったといいます。
そしてこの大市から始まったとされるのが「羽子板市」。
浅草の歳の市は、日用品の他に新年を迎えるお正月用品が主ですが、いつしかそれに羽子板が加わり華やかさが人目をひくようになりました。その華やかさから押し絵羽子板が「市」の主要な商品となり「羽子板市」と呼ばれ「人より始まり人に終わる」と言われるほどの賑わいとなりました。
飾り羽子板は、災いや病気を跳ね返してくれる縁起物です。
出店の壁一面に飾られた豪華絢爛の羽子板は非常に圧巻。歌舞伎の演目や舞妓をはじめ、羽子板にはその年の流行やユニークなモチーフもデザインされます。
歳の市は雰囲気を味わうだけでも楽しい、年の瀬の風物詩。いつまでも大切にしたい日本人の心に残る行事のひとつです。
にぎわう街の風情と人情、粋な浅草の気風を感じられ、まるで江戸時代にトリップしたような時間でした。
今年はどんなお飾りにしようかとあれこれ見ている時間は、胸がときめきます。お正月飾りは「我が家にお越しください」 と年神様に知らせるサインであり、年神様が宿る依代。
自宅の神棚や玄関に、来年を迎える鮮やかな縁起物を飾りましょう。